晩秋が近づくと、また日本の「きのこ好き」たちの活動が盛んになる季節がやってくる。ちょうどいい機会だったので、森の案内人(フォレストガイド)が主催する、きのこ採り観察会に参加してきた。
実を言うと、目当てはツキノワグマの講座だったのだけれど、ふたを開けてみればほとんどの時間は、みんなでキノコを探して、採って、見分けて、食べて食べて食べて……という展開に(笑)。学術色の強い「きのこの会」の雰囲気とは、まったく違っていた。
30分ほどの、ゆるい雰囲気のキノコQ&Aコーナーが終わると、リーダー格のおじさんが小さな竹かごを背負い、「松茸のあるところ、見に行く?」と聞いてきた。みんな「行こう!」「早い者勝ちだ!」と盛り上がる中、おじさんは熊の糞だらけの小道に入っていったかと思うと、身軽にひらりと跳んで、道の右側にある急な藪の中へあっという間に姿を消してしまった。人影さえ見えなくなるその身のこなしに、いきなり難易度が跳ね上がったこの「きのこ狩りコース」に、早々にひれ伏す思いだった。さすが全員森の案内人……。
グループの中の年配の4人はそれぞれバラバラに動き出し、みんな林の中を自由自在に駆け抜けていく。互いの居場所は、呼び合う声だけで確認し合う。それから40分間、私はずっと急な藪の中を手足を使ってなんとか這うように進み続け、髪の毛は枝に引っかかって犬の巣みたいになり、顔は蜘蛛の巣だらけになった。
そのとき頭の中にあったのは、たった一つの考えだった——「みんな、熊に会わずにキノコを採るだけでもこんなに大変なのに、熊の糞をたどって登っていくの……?」。
ここでようやく理解した。夏に良いキノコを採れていたのは、日本人が夏にキノコを採らないおかげだったのだと。秋になると、こんなに命がけの人たちには到底かなわない。
ただ、その後の鑑定タイムはとても楽しかった。みんな手に小さな図鑑を持ち、話題はもっぱら「これは食べられるか、食べられないか、どう食べるか」。話しながら、自分で作ったキノコ弁当を取り出してみんなに分けてくれる人もいた。この会で、私は初めて、ここ十年ほど厚生労働省がずっと注意喚起し続けているスギヒラタケを口にする機会を得た。ここに集まった人たちはみんな、このキノコが大好きらしい。
ツキノワグマ講座は、いつの間にか「熊との遭遇エピソード披露会」に変わっていた。このグループの人たちは本当に熊を見た経験が豊富で、どんな話もさらりと語ってしまう。結論はたった2つ。熊避け鈴をつけて熊の方から避けてもらうこと、そしてこまめに草刈りをして熊が身を隠せる場所をなくすこと。こちらが避けるか、相手に避けてもらうか。正面から立ち向かっても勝ち目はまったくない。大事なのは「熊に出会ったらどうするか」ではなく、「どうすれば熊に出会わずに済むか」を知ることなのだ。
