これは学名「千島笹」、長野では「ネマガリタケ」、山形では「月山竹」、岩手では「姫竹」、そしてこのあたりでは「磐梯竹」と呼ばれている。日本海側の標高1000メートル前後によく生えていて、5〜6月にタケノコが出る。人間も、熊も、みんな大好きな山菜だ。
先日、友人を連れて山にネマガリタケを探しに行った。「先週タケノコの頭を見かけたから、絶対見つかるよ」と自信満々で連れ出したのだけれど……。自分では「かなり穴場」だと思っていた林道を選び、みんなで林の中に這いつくばって夢中でタケノコを探していたら、軽トラックで通りかかった地元のおじいさんが車を停めて、窓から顔を出し「何を採ってるんだい?」と声をかけてきた。手にした細っこいタケノコを見せて「ネマガリタケを探してるんです」と答えると、おじいさんはそれをちらっと見て、憐れむような表情を浮かべながらこう言った。「これはネマガリタケじゃないよ。せいぜい笹の子だ」。そして「この横の谷沿いを2時間ほど登れば、本物のネマガリタケが見つかるよ」と道を教えてくれた。
教えてもらった谷を見てみると、崖のような急斜面で、谷底までの深さは少なくとも100メートルはありそうだった。
それでも諦めきれなかった相方は、家に帰って地図を調べ、翌日には鉈とノコギリを担いでその谷の入り口を探しに出かけた。昭和初期の林道の跡をたどりながら山道を見つけようとし、鉈を振り回しては、廃道を4本も切り開いてみたが、目的地への道はどれも見つからなかった。3時間ほど彷徨って、ようやく荒れ果てたU字溝を見つけ、それをたどってなんとか谷底にたどり着いた。そこには本当にネマガリタケがあった!
掘り出したネマガリタケを手のひらにのせたとき、初めて気づいた——ここ数年、自分たちが掘っていたのは、たぶん全部「偽物」だったんだと。
ご近所さんに教わったやり方で、ネマガリタケの先端を切り落とし、縦に一本切れ込みを入れてからオーブンで表面がこんがり焦げるまで焼く。皮をむいて醤油や味噌をつけて食べると、これが本当に美味しい。炭火で直接焼けば、さらに美味しくなる。
